第四十六章 理由

我々人間はなぜ死から目を背けて生きてきたのであろうか?
それならいっそ、他の生きもののように、知性がなかった方がよかったのではないだろうか?
なぜなら、
知性があるゆえ、我々人間は死を知ったのであるから。
言い換えれば、
知性とは、
過去や未来に想いを馳せる能力に他ならない。
逆説的に言い換えれば、
『今、ここ』を生き切る能力の欠落が知性に他ならない。
その結果、
我々人間だけが、未だ来ぬ未来に起こり得ることを知ったのである。
まさに、
未だ来ぬ未来に起こり得る唯一の出来事が死であることを知ったのである。
つまり、
我々人間の一生も、
誕生→生→死
という円回帰運動であることを知ったのである。
ところが、
我々人間の知性は未だ未熟な知性ゆえ一生が、
超対性の死(極(pole)=0π(0度))
→ 
絶対性の死(可除特異点(removable singularity)=π/2(90度))
→ 
超対性の死(極(pole)=π(180度))
→ 
相対性の死(真性特異点(essential singularity)=3π/2(270度))
→ 
超対性の死(極(pole)=2π(360度))
という円回帰運動であることに気づかなかったのである。
その結果、
超対性の死こそが、真の死であることに気づかなかったのである。
我々人間が死から目を背けて生きてきた理由がここにある。