第三章 やっかいな相手・地球人

父のヒカリが言っていた、わたしの仕事が大事だが困難だということが分かる事件が起きました。
それまで地球はクウの操縦する金星と同じようにわたしの操縦する命令通りに動いていたが、ここ最近操縦操作をしても命令を無視する動きが多くなってきたのです。
クウに相談すると、金星は操作通りに動いていると言う。
どうして地球だけが操作通りに動かないのだろう。
わたしはクウのアドバイスもあって、地球上に調査員を派遣して調べさせてみることにしました。そして調査の結果驚くべき事実が判明したのです。
わたしのミスだった。
絶対服従を緩めて少し寛大な扱いをしたのが仇になったのです。
酸素の多い地球だからと思って地球の願いで水を創ってやり、また土を創ってやり、それが海と陸とになり、海の中に生物も創ってやったこと、そして陸にも生物を創ってやったことは承知していましたが、陸に住む生物に、とてつもないモンスターが生まれていたことに気づかなかったのです。
人類という種類の動物で、まさにモンスターでした。このモンスターが、言うことをまったく聞かないで勝手放題しているらしい。その結果、他の生物に多くの犠牲が出ているという報告でした。
わたしは父に相談して指示を仰いだのですが、父は何も教えてくれずに自分で処理するようにと言うだけで、ただ一言、この人類という怪物はなかなかずる賢い生物で、わたしの弱点である情の深さを見抜いて、わたしを出し抜いて父であるヒカリに一生懸命、追従をしにきていることを教えてくれました。わたしの怠慢だとも言って父から叱られ、このままだと地球という星はわたしたち一家が50億年後に新しい宇宙でホワイトホールになる前に父から追放された迷星や遊星と同じようになってしまうかもしれないとわたしは悩みました。
そして自分自身で処置をしに地球上に行くしかないと決断したのです。
最初に困ったのは言葉でした。わたしの想いを地球に伝えるにはどういう方法がいいかと随分考え、そして宇宙を遍在している波の中から音に変えることができる波を選び、音で伝えようとしました。地球上にあるすべての物質が受信できる音を発信することでわたしの想いを伝えようとしたのですが、その方法は正しかったと思います。
みんなわたしの音によるメッセージを受信してくれて、指示通りに動いてくれました。
人類も最初は聞いてくれていたのですが、父のヒカリが言っていたように、この人類は非常に賢く、狡猾な生き物で、わたしのあみ出した音によるメッセージの言葉を自分達流に作り変えてしまったのです。自分達の都合で時にはわたしの波長に合わせ、都合が悪くなると波長を変え、わたしからの指示を黙殺することを考え出したのです。
父が言った通り、やっかいな仕事になってきたようです。
わたしも、こうなったら引き下がるわけにはいきません。
このやっかいな地球人と徹底的に対峙するしかないと決断したのです。
この戦いが、その後わたしが考えていた以上に長引くとは思っていませんでした。
ここでも、またわたしの甘さが露呈してしまったのですが、わたしは地球の支配者です。
面子にかけても、人類に負けるわけにはいきません。
ここでも、あとから考えるとわたしの若さが出てしまいました。
人類を甘く見過ぎたのです。
わたしは、他の物質、生き物が従順であるのに、人類の犠牲になっていることに気を取られて彼等の為に地球のカオス状態をまず正常化しようと思ったのです。
人類に対する処方はそのあとでやればいいと思ったのがまたまた仇になってしまいました。
すでに、人類が地球上の物質・生物を支配下に置いていたことに気づかず、わたしが彼等を何とかしてやろうと、いろいろ話し合いをしたその背後に人類がいて睨みを利かしているとは露とも気づかず、結果的には彼等の中でわたしを信頼して事実を話してくれたものたちが、またまた人類の報復を受け犠牲になってしまったのです。
「もう許す訳にはいかない」と決断し、人類を消滅する手段に出たのです。
そのとき、父のヒカリも見かねて応援をしてくれることを約束してくれました。
あとは、如何にこの人類という怪物をお仕置きするか、父はわたしに一任してくれました。
わたしも、今回のことで少しは大人になっていたので、そうやすやすと人類の好き放題はさせないという覚悟で臨みました。