第十九章 人種と民族

わたしが最初人間という動物を創ったのは、あくまで海の生物だけでは陸の意味がないという要望で陸にも生物を創り、最初は海でも陸でも生きていける両生動物が便利だろうと思ったのですが、海と陸の対抗意識は思った以上にに強く、陸だけに棲む動物をとの陸の要望で爬虫類という両生動物に極めて似た動物を創りました。
ここにも、わたしの煮えきらない性格が出ています。最初から哺乳動物を創っておけばよかったのですが、つい海にも陸にも気を遣って両生・爬虫類を魚類のあとに創ってしまったのが失敗のもとでした。
それほど海と陸との対立が激しかったからですが、父の太陽系惑星群の中で水を持つ惑星はわたしの地球だけで、それ以外の惑星はみんな太陽の一部が飛び散って生まれてから冷却し、いろいろな無機物質である鉱物の塊となって、岩石などで出来た火山がほとんどのつまり陸しかないのです。それは大気がないのと、大気があっても炭酸ガスの大気の金星や火星で、酸素の多い大気を持つのは地球だけだったからです。
父の太陽のような星は恒星といって自分で光りを発することが出来ます。こういった星の成分はほとんど水素ガスとヘリウムガスで出来て、常に燃焼し、その炎によって光りを発するガスの星で、表面温度は何十万度といった想像もできない熱さの星です。表面でガスが燃焼して爆発したときに水素やヘリウムのガスとともに酸素や炭素といった水素1、ヘリウム2の周期律のすぐ外側にある若い元素が一緒に飛び散って惑星が出来るのです。最初は燃えていて熱いのですが徐々に冷えていって、安定したヘリウムは別として不安定な水素、酸素、炭素などが化合物をつくって無機物質が出来たのです。つまり鉱物です。それが陸の起源です。
ところが地球には酸素が多く、水素と化合して水が出来、陸の上に水が溜まり、海が出来たのです。海の領域が増えれば増えるほど陸は不満が増大していったのです。
そこへ窒素という元素がからんで水素、酸素、炭素、窒素といった元素はみんな不安定元素だから、安定したヘリウムやネオンのように自分だけで分子化合物つまり物質を構成できないものですから、お互いに化合して物質をつくった。それが有機物質で生命体のもとになるものが地球に出来、最初に海の中にアメーバという単細胞の有機生命体をつくり、そこから進化させて魚類、両生類、爬虫類・・・といった訳です。
今から考えてみればすぐに哺乳動物を創ればよかったのです。
そうすれば、哺乳動物の進化がもっと充実したものに出来る時間を持てたのです。
結果、恐竜時代がかなり永い期間、地球上を支配して今の人間と同じように傍若無人に暴れたのです。そして他の動物のみならず、植物や、自然の生態をも混乱させてしまった。
彼らを懲らしめたのは実は金星のクウと火星のイクサだったのです。
わたしは最後まで海を拠点にする恐竜と陸を拠点にする恐竜との共存を望んで彼らを説得したのですが、後から出てきた陸の恐竜があまりにも狂暴な性格を持っていて、言うことを聞かなかったのです。このことが後になって陸に棲む動物の方が圧倒的に狂暴性を持つようになったのです。
わたしのやり方を見るに耐えられなかった、クウとイクサがあっという間に地球の気候を金星や火星に似たものにしてしまって、生物が生きるには余りにも過酷な地球にしてしまったのです。
だから、恐竜たちが絶滅してからしばらくは、地球も火星によく似た星になった時期が続きました。
その苦い経験を生かして、哺乳動物を慎重に創っていったのです。
人類を創ろうと思ったときも、先ず猿類を創り、そして類人猿動物に進化させ、慎重に慎重を期して今の人間の祖先の原人に進化させていったのです。
しかも地球上のいろいろなところに分散させて、その進化を進めていったのです。
北の寒い地域にも、赤道直下の地域にも、温暖地域にもといった具合に分散させました。そしてそれぞれの地域で人類から人間への進化をさせていったのです。
ところが、そのわたしの意図が後代になってとんでもないことになるとは予想だにしませんでした。
人類が他の動物と違った生活スタイルをとることで、気候、特に父のヒカリから与えられる太陽の光線の放射熱と対流熱の強さの違いが地域によって異なり、その結果生活様式も異なり、特に放射する光りと人類の有機物質が光合成することで色素をつくり、特にメラニン色素という黒色色素が太陽光線の強く当たる地域の人類の肌を黒くし、温暖地域の人類にもいくばくかのメラニン色素が肌に色あいをつけていたのです。
これは、太陽光線の強さから守るための肌の質を強化する化学の知恵だったのです。もうひとつ、この色素の利点は人類の脳の狂暴さの面を弱めて、柔和にする働きを持っているのです。これは恐竜の狂暴さから学んだことを活かしたのです。
しかし北の寒い地域に棲む人類は太陽の光りの恵みが少ない地域だったために、ほとんどこの色素が合成されず、まったく色素のない狂暴さだけ残した人類になってしまっていたのです。
これがひとつの人類から複数の人種という区分けの誕生となったのです。
そして住む地域の違いから民族という区分けの誕生にもなってしまったのです。
この人類の悠久の進化の結果、今では何百、何千の人種、民族が生まれ、特に人間同士の相克の原因である言葉の種類が5千種類以上あっては、意志の疎通はまったく不可能になってしまい、誤解が誤解を生む最悪の動物になってしまったのです。
それが、人間同士の絶え間ない殺し合いになって、今地獄の展開を真のあたりに見て愕然としているのです。