第十二章 テンシの恐ろしさ

5百年前に戻る前に、もう少しテンシのことを、お話しておこうと思います。
百年ほど前にテンシは、やはり地球のへそである日本に使命を持ってやってきました。
わたしが、びしっとしなかったからだ、ということは前にも言いました。
それと宇宙の意識の世界で最も嫌われていることを人間がしたこともあります。
わたしたちの世界では、何度も申しましたように、善悪、是々非々といった概念はありませんが、感情はあります。好き嫌いはありますが公正さは守られています。
ここが人間の理解できていないところなのです。
他の動物を見て頂ければよく分かると思うのですが、動物にも好き嫌いはあります。
だけど不公正なことをやってまで好きな方に肩入れすることはしません。
それは、好き嫌いの感情よりもルール・掟が最優先だからです。
掟を破ったらすべてがパーになります。その掟のベースが公正、フェアーだということなのです。
この公正を、フェアーの原点を人間が破ったのです。これは嫌われます。
もちろん、人間の長い歴史の中で既にその芽は出ていましたが、まだずっと昔の人間には自然を神として拝む自省の心があったのですが、百年前ぐらいからその公正さがまったく失われてきたのです。
その極みが原爆というものをつくりだしたことです。もちろん原爆は60年前ぐらいにできたものですが、その芽は百年前頃に既にあったのです。
これは大変だとテンシが思って地球にやってきたのです。
当時の一番の頭脳を持った人間が考えだした理論から原爆がつくられる可能性を見いだした彼はテンシから叱られ慄然とし、わざわざ日本にやって来てこの地から世界に警告を発したのです。
この日本が世界の中心の大事なへそであること、そしてこの日本が存在することが人間にとって祝福だと述べたのです。
実は彼が考えだした理論は、テンシの導きによって発見されたものだったのです。
もっと有意義に使われ、人間の犯してきたことに対してちょっとでも償いをさせようと思って、この人間に教えたことだったのですが、ちょっとこの人間も天狗になって、いい気になったのがいけなかったのです。
いくら人間の中で一番の頭脳といっても、たかがしれています。
彼は晩年「結局何も分かっていなかったということだけが自分が分かったことだ」と言いましたのはテンシに言わされたのです。
そのときも「・・・・・分かったことだ」がいけない、まだ傲慢さが残っている「・・・・・分かったことです」と言えとテンシに命令されたのです。
分かりますか。テンシの恐ろしさを。しかも原爆をつくらせてこのへその地である日本に何と2発も落とさせたのです。
落とした国の当時の大統領が、何か自慢げに「卑劣な奴らに落としてやった」と言ってたようですが、彼らには何もできないのです。テンシの意志が働いただけのことだったのです。その上、テンシが激怒したのは、この原爆投下の彼らの本音は日本人をモルモットにしての人体実験だったのです。
これを知ったテンシはこの世界一の頭脳を持った人間に罰を与えたのです。彼はその後失意のどん底で死んで行きました。この世でいかに名声を得ても、本人が後悔の念で死んだらその人間の人生は失敗の人生です。
これが一番苦しいということを人間に分からせなければと思っているのです。
この原爆投下に関わった人間たちは、結局地獄を見て死んでいったのです。
これからの人類の文明は情報社会であると、少し頭のいい人間がよってたかってのたまわっているようです。
そこに目をつけた狡猾な人間が、新しい武器として言葉の暴力を駆使しだした。
これはひょっとしたら原爆以上の恐ろしいものになるとテンシは見透しています。
そして、来るべき情報化社会に恐るべき落とし穴をテンシは仕掛けているのです。
これは原爆どころではない。原爆は肉体が死んだらその苦しみから解放される。
だがこの恐るべきものは人間の精神・心をズタズタにしてしまうから、ほとんど永遠に苦しみは続くでしょう。
そこにテンシは作用・反作用の法則による恐ろしい落とし穴を、この悪魔たちに仕掛けたのです。
もう数年の内にその落し穴に悪魔たちははまります。そしてその悪魔たちにのせられた愚かな弱い人間も同じ運命を辿ります。いいですか同じ運命ですよ。宿命ではないのですよ。これが想像を絶する苦しみなのです。
今更ながら、我が子とは言え、テンシの恐ろしさにわたしは慄然とするのです。