第三十五章 自他の区分け意識

独りで生まれ、独りで死に、そして、誕生と死の間に横たわる生も、独りで生きると自覚している人間は、“如何に死ぬか”という問題と正対して生きてゆくことができる。
一方、
独りで生まれ、独りで死ぬが、誕生と死の間に横たわる生においては、独りで生けてゆけないと錯覚している人間は、“如何に生きるか”に汲々とした生き方をする。
従って、
“如何に死ぬか”とは、
“自分は独りで生きている”と自覚することに他なりません。
一方、
“如何に生きるか”とは、
“自分は独りで生きてゆけない”という錯覚をすることに他なりません。
まさに、
自分以外のものを如何に捉えるかの問題に尽きます。
言い換えれば、
自分と他者との関係を如何に捉えるかの問題に尽きます。
つまり、
自分とは唯一無二の実在であるということ。
そして、
他者とは無限に拡がる映像であるということ。
更に言い換えれば、
自分とは、『今、ここ』のこと。
一方、
他者とは、過去のこと。
まさに、
『今、ここ』を生きているのは、自分独りだけであることを自覚することに他ならないのです。
一方、
過去・現在・未来に想いを馳せて生きるのは、自分と他者が同じ世界を生きていると錯覚することに他ならないのです。
まさに、
自他の区分け意識の問題に他ならないのです。